ランドローバーオーナー・ショウ2012
イーストオブイングランド・ショウグランド・ピーターバラ
2012年 9月 8〜9日

探訪記録

ずいぶんと、英国のショウ探訪のアーカイブも増えて参りました。御贔屓下さり、ランドローバーを好きでいらして下さるお客さま方に、毎年何か新しいお品やサービスを御紹介申し上げようと長年続けて参りました。時には悪天候に見舞われ祿に収穫がないこともありましたね。でもここピーターバラの見本市会場は、多少降られてもビリングほど足場が悪くならないのです。どちらかというとこちらの方は晴れ得意の気候でもあるんです。ロンドンからのアクセスはと言うと確かに少々悪くなりますが、何しろ間違いがないということで、今年はこちらを訪ねました。

先ず駐車場が違うんです。
何が違うかと言うと、パーキングブースの他はご覧の通りパススルー総べて鋪装されています。正装して来訪する内覧客のことを考えて作ってあるんです。つまりそういう意味でも高級なエリアなのです。

先ずは我々が到着した駐車場から歩いてみます。

ここにみえるものは、主に私達には身近なランドローバーの姿です。勿論「他社製品」もあるんですが、私達のファインダーには入りませんので悪しからず。英国全土、或いはヨーロッパ大陸から海を渡って来た愛好家のクルマ達を見ることが出来ます。

専ら駐車車輌ばかりなのですが、折々に売りますという貼り紙を見出せます。ここにはランドローバーが好きな人が集まるのは道理ですので、他所で見せるより確実かも知れません。右上の青いクルマは窓迄塗り潰していますが、その所為で流通にのせるのは無理があるんでしょうかやはり連絡先のセルラー番号が書かれた紙を掲示しています。

新旧いろいろの年代のクルマが見られるのも駐車場のいいところ。

但し注意しなければならないのは窃盗犯と間違えられないようにということでしょう。勿論これは洋の東西問わないところですが、英国も昨今治安が悪くなって来ていますからね。こんなに旧いレンジが普通に走っている姿もロンドン市内では珍しくなっていますし、気持が曳かれていくのは禁じ得ませんけれど、なるべく足を止めずに入口へ。

会場を仕切るフェンスに近付きますと、「燦然と」LROのロゴが現れます。

ここから先はこの雑誌を核にした愛好家の聖域です。

勿論並みいる「専門」業者も愛好家。愛好家が愛好家を牽引する。そして助け合う。そんな世界が広がります。

切符をもぎってもらって、みんなの仲間入りをしましょう。特にセキュリティチェックなんてありません。入場券を持っていない人はここで求められます。ここもまだ真夏の様相、緯度が高いので日本の東京界隈よりは過ごし易いですが、こちらの人にとっても今年は暑い夏だった様子。まだまだ軽装でいたいものでしょう。

会場に入りますと、大体いつものレイアウトです。人の出入りの多いところには、お土産屋さんとか料理やおやつの屋台が並びます。屋台の殆ど全てが特装車輌で、トレーラータイプやトラック・バンの改造です。こうしたイベントを回って商売しているのです。

ランドローバーに傾注した部品や用具、お土産といったお店は、大体テントブースを広げています。

大体、いつも同じ面々です。通いつめると、日本人なんて珍しいから一発で覚えられてしまいます。

重たい自動車部品や部材を、運んで来たトラックから下ろして並べる。それだけでも気が遠くなりそうですが、彼らは車中泊をしながらがんばります。めんどくさい、儲からない、歳とった〜なんていっていますと、ランドローバーを長く大切に使おうとする人たちが、その願いを達する可能性から一層遠退いてしまうのです。
勿論宿泊したり運んで来たりした車輌自体も展示物になるのです。好きでやってる商売でしかもクルマ屋ですので、デモンストレーションに使われているクルマの何とも凄いことといったらそりゃあ大変な程です。丸々真似をするのは今一つお勧め出来ない。その中で自ら必要とする部分を切り抜いて愛車に施したりする現物見本のような扱いですか。

ルーフテント、極一部日本のオートキャンプ場でも見かけるようになりましたが普及はまだまだ。
弊社ではこれランドローバー車種用のみならず、メーカーが提供する各車種向けのセットをお取り寄せ申し上げますのでどんどん御利用頂きたいところ。

道具やら、ジャンク部品やらを売っているお店は沢山あります。何処の世話になったらイイやら分かりません。並んでいるものから根気良く必要なものを探します。これ、本当に根気しか頼れるものはありません。乱雑に並ぶ品々の中から欲するもの、欲するサイズ、欲する程度で第六感を総動員して出逢うという感じなんです。

工具は昨今大変モノが宜しくなりました。昔ならこんな風体のセット工具なんてこういう状態で売っている限り凡そ使い物にならなかったもんです。ボックスはすぐ割れちまうし、ハンドルが曲がる、レンチが折れる、口が割ける。けがを誘発するというんで、やはり銘柄ものを求める傾向でしたが、今はどれ買っても、それこそプロが使い斃すのでなければ充分になりました。

日本では手に入らない材料もあります。

布、網、一部の金属材料、部品として加工されたホースなど。私達は一応商用で来訪しているものですから、お客さまの要望を纏めたメモ等見たりし乍ら探索致します。

或いは、施工中のお客さまのお車に使わなければならないものとかも、何とか捜し出していかねばなりません。
遊んでいるようですが結構大変なんです。

許された時間はたったの二日しかありませんから、カタログなどでは到底足りない素材をここで触れ乍ら見い出していきます。

特に、新型PUMAディフェンダーが現れてはや五年を数え、そろそろ中古車も出始め、修理は勿論、中古車だからこそのドレスアップの需要も見えて来ましたので、使えそうなものを探さねばなりません。

この金物屋さんは内外装の材料を扱っていますね。製品ばかりでは間に合わない低年式、いやそれを通り越した旧車のオーナーは、こういうところの知恵にも集ります。キャンピングトレーラーで寝泊まりし乍ら一族で売り物を背負って歩く感じ。ごっついおばさんがしっかり仕切って頼もしい。

そういう店があるかと思うと、車体とは無縁な感じのアンティーク屋さんがいたりもします。

コレクション趣味がある人はウッカリこっちに入れ込んでしまい肝心の自動車の保守用の買物が後手に回るでしょうね。

旧い看板とか、旧いおもちゃとか。
これ私だったらどんどん買ってしまって予算を終らせ「はいそれまで」になるでしょうね。たまたまこの著者はニホンから一歩も出ずにレポートを受け取りこのコンテンツを作っています。

ある意味で幸いかも知れません。

だから、お見せするのも少ししつこくなるんですよ。「重い車注意、この橋は丈夫でないよ」なんて今はありそうにない標識、ついつい、うちの脇の川のところに立てたくなっちゃうな。今はこの先車通り抜け出来ません程度ですが、これなんかモロにうちの環境にぴったりな感じだし。

誰が作ったのかブリキのローバーも気になるし。

不味い不味い止めときましょうか〜と次の絵を繰ると出ましたナッジバー。解体崩れでなくても中古車で売り回したりリース車回収した時に客が付けていたものがついてて、それを剥がされこうしてものだけ結構出る様子です。勿論これぶつける為のもんだというんで誰しもまあお安く買いたいのは人情だからスグ、ご覧のとおりの風景になります。

ただこのハンケツの青年はナッジバーが欲しいのじゃなくてどうやらフォグランプが欲しいみたいです。売り子らしい大きな人もややハンケツぎみなんですがこれは時代か。昔だったらだらしないとケツを蹴り挙げられたものだけども、一先ず今は視界から外すとして、青年はライトを外せといっているような写真がこの後続きました。

まあ、さもありなんかもです。

ジャンク部品屋で売っているものは、大抵が→のようなことになっている、もんなんです。そのまま使うにはチョットどころかナカナカ難しいかも知れない、それなり以上に手が掛かる、可能性が高い。

だからといって悪い訳ではないんです。溶接が出来たりする人にはお得なお買い物になるの間違いないです。

ディフェンダーにはありがち、強風で捲り返されたドアなんか、アルミだからなかなか綺麗に板金加工出来ないので、成る可く取り替えたいとなると中古品を思い出します。

ただもう現時点で中と外の色が違うのがありますけれどね。それも考えようによっては生きる道なんです。→のような使い方をしてもいいから動いて助けになれば良い、と思えば、少々のコトはなんのそのでしょうねえ。

ここは、中には最新それも特装の3.2TDCi-PUMAがギンギンのオーラを撒き散らしているかと思えば、漸くどっこらしょ〜と人や品を運んでいるシリーズ110、ディフェンダーへの移行年代の2.5TDi車だって生きて足を運んでいます。もっと旧いシリーズ1・2・3に関しても、片やフルレストア済新車同様、過保護の限りを尽くされトラポンで会場入り、もう一方ではやっぱり、えいや・どっこい・おっと今にも止まりそう〜と言い乍らここに着く迄実は五回止まった、でもおかしくない。時々駐車場でショップの人がオーナーと何か激討し乍ら潜っているのを見ますことから、レッカーで到着してしまうのもありなのです。

高そうな犬を引き連れて場内を堂々と歩ける人があれば、もう一方では使える部品を何とか予算内で手に入れないと帰れない人もいる。そういうところなんです。

ただ御予算の方は少し安心。大体のお店はクレジットカードOKです。ゲンキン目当てのテキヤ商法の人は一軒もないですよ。ボロ屋さんだからってバカにするなかれ。現金がない人にもちゃんと貢献する用意があります。私も昔ココの世話になってますからね。お金ないよ、コレ使えます?といったらオオヴィザオッケ〜で助かりました。

品揃えは、出展の店々でこれもタスケアッテいますので、エンジンの奥深くのモノから、再生された安心のユニットに至る迄、ないものはなく、その気になればここで買い集めたもので一台のランドローバーが作れるくらいです。

わが社長もソレには納得、ガラクタの中の輝くお宝に目を奪われています。

ここでこれらを暢達して、会期中に付け替えて、旧い方を売って行こうというツワモノも居ます。その気になればそういうことも出来てしまうんですね。

いや、冗談を抜きにして、本当にここで集めたもので作る人もいるんです。ばかに大きなユニットも何もこれから要るものを探しなさいというばかりでなく、細かく買い集めると高く付いて大変だろうとわざわざばらさず持って来て並べてあるんです。私は以前御一緒させて頂いた時、こうなってるものからコレ外して欲しいと店の人に頼んだら、出来ればばらしてあるのを使ってよホラこっち、と案内してもらったことがあります。

シート、シートのレール、シートのベース、配管や配線の一本づつ、ワイヤハーネスとか、必要としている人だってそうそう覚えていられないだろうモノまたモノの山。雑然としていますがこの中の何かで一台が一時代助かって行く。
またはそうして助けられていきたい。
そうした人が頼る一角です。

で、そんなざわめきは特に初日の午前に集中します。

この一角は実はそういう人々の山が、振り返れば押し寄せているのです。

人の波を縫い乍ら、目当てのものクサイ荷の山を見つけたら乗り込んでガサゴソやる。そのうち手は真っ黒。

そうして安心と経済運用をものにする。

ショップに乗り付けて注文出来るお金持ちな人とは随分風情が違う人も大勢居ます。ここはランドローバーの母国、ここではそれは国産車、しかも普及車です。車がくたびれれば人もくたびれる。一緒になって歳を取る。

弱ったところは新品で直せれば幸せですが、死体移植・ドミノ移植も生きる道。

この人波が乗車を並べたらそれこそ大変なことが起きそうだ。

そうした一角を過ぎていくと、多少は提案が見られます。

これは去年も見た、映り込みをディフェンダーで手に入れる提案。
昔ヤ○セのTVコマーシャルにとても魅力的なのがありましたね。「しずぅかに〜しずぅかに〜」なんて、アカペラのBGMに飾られて、過ぎ行く街並がクルマのフェンダーに映り込む様を流すものでした。私は昨年これをみて、真っ先にそれを思い出しました。新車のディフェンダーが来た時は、何とかその「しずかにしずかに」がやりたいってんで毎週ワックス掛けに勤しんだものです。

今年はそれがガラクタ屋さんの展示車輌にお目見え。これ、御自慢というよりむしろ、そろそろこういう生き方もいいんでない?と問いかけているように感じるのは私だけではないのでは。
映り込みに負けまいと、ぎらぎらに磨き上げられたフォグランプ!。ついでにクロム鍍金のバンパー!。

徹底的に映らせようって魂胆です。

ナンバーはDEF For You。ぶっとんでます。

が、わが一行は流石プロフェッショナル。細かいところを見逃しません。

黒いPUですが、なァんか変。そう、どう見てもキャブが後ろに押し広げてある。

PUのキャビンは、結構前後奥行きが窮屈で、リクライニングシートのSWに慣れた向きには乗車姿勢が少しばかりムツカシイものになりがちなのです。この車の主人はもしかしたらすっごい体格なのでしょうか、耐え切れなくなったか、キャビンを後ろにストレッチしたんですね。

荷台のトンネルトップは単なるアルミのドームですから、伸ばした分を切りとってしまえば合わせるのはお終いです。これを他のクルマでやるとなると、思い切りだけではどうしようもありません。かなりテクニカルなコーチワークが入用で、それなら楽に乗れる何かに買い換えた方が適当。でも、ランドローバーなら、ええいママよっとこの手に及ぶことも充分方法としてはアリなのです。

だからこういった手腕も横行します。こちらの方、英国ではこうしたもので走るオフロードコースやクラブが充実していまして、四駆遊びはヨットと同じように国民的な乗物スポーツなんです。

よって単なる目立ちたかりではなく、より速くより確かに、通い付けているコースの難所をパスする方法を議論したり推奨したりして段々このような姿に成長していく訳です。今では程々以上に成長しているオフ四駆走りスポーツの環境で、この状態ならではの転売価値も表れています。勿論ディフェンダーなど英車である必要はありません。トヨタやベンツも相応に、いやむしろ大勢派かも知れませんねそっちのほうが。

勿論この方向で目立っていこうというのも当然、その世界が深まり大勢集まるようになれば出て来るんです。PUMAのボンネットの膨らみが何だか無意味に見えたのか、スクープを切ってみたり、致しますと、またそれなりにぐぐっと迫って来る訳です。

色を出来るだけ鮮やかにして、そしてさっきの映り込みも手に入れて、挙げ句泥だらけに挑もうという勇者も出て来る勢い。

私だったらここ迄やったら雨にだって濡らしたくないわ。

でもそれじゃ多分ひ弱なんでしょうね。

この界隈は、展示車ではなく業者さんの泊まるところなんです。だからかこうしたより気張った、ある意味では究極のローバーいじりみたいなものが見受けられます。奇を衒わずしっかりオーバーサイズのキャリアだけをつけた年代物の110もその一つでしょう。車に限りません。充分な天井高さを稼ぐ筒型テント、高級なキャンピングトレーラーの定番であるエアストリームにも、アウトドアアクティビティを生活に溶け込ませ、その条件の中で最大に楽しむ精神のようなものを感じます。

では、まあそろそろ、車が並んでいる方へいってみることにしましょうか。

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