ランドローバーオーナーインターナショナル
ショウ2016
イーストオブイングランド・ショウグランド・ピーターバラ
2016年 9月 17〜18日

探訪記録

何だか説教臭くなったあとは、ファイナルイヤーを乗り越えてまだ日進月歩ないろいろを。
そういえばLED。まあ発行ダイオードですが、少し前ならインジケーター程度の役割、ちょっと贅沢を言って精々小さな範囲の照明用くらいにしかならなかったそれが、今や外をがんがん照らそうというんですから驚いてしまいます。
まだヘッドライトで完璧な性能が出るように放っていないようですが、サブランプやフォグランプという役割には進出して来ています。ランドローバー車は四駆という性能機能上、ヘッドライト程度ではどんなに性能が良くても物足りないシーンが必ず出て来ますが、ライトで電気を喰われ過ぎて点けたら却って暗くなるという御経験者もお有りかと思います。大きなライトを旨く使うにはアースが重要です。オリジナルのアースでは、大型のライトには物足りなくなりますから増設が必要なのです。消費電力が少なければ余計な配線工事は要らなくなります。それにはLEDは好適です。まだまだ指向性を出したりという小技は研究が必要ですが、面で照らすようなアコモデションには大分適当なセッティングが見い出されて来ています。
しかし、まだまだ発展途上だとは思います。

ディフェンダーのアフターインストールギヤで代表的なのはウィンチ。ディフェンダーになってからはPTOウィンチやウィンドラスというものは見られなくなりました。モーターを用いたそれらがまだまだ進化中。直流小型モーターは、アイドリングストップ車の停車毎の始動を司っても十年単位で使えるようになり、昇華が著しいと感じます。勿論それらはウィンチにもフィードバックされています。小型でより強くを目して、ワイヤーよりロープが多用されるようにもなっています。金属より繊維が強いなんて意外ですね。

電動モーターといいますと、一部のハイブリッド車の主要推進力にも使われています。ここにはハイブリッド車は居ませんが、こういう乗り物が居ます。今年は牽引仕様が目立ちました。これは結構高価な玩具で、大人の乗用に耐えるものも現れています。モチーフをランドローバーにすれば、四角いままで良いので、全てが楽でしょう。モチーフ自体が終わってしまい、この業界、あおりを喰ってどうにかなりはせぬかと心配をしたり致します。

私的には、玩具の形でもイイから、この姿が市場に残って欲しいと感じています。皆そう思っているのか、今年は牽引仕様車まで現れて、大人迄乗り組む様子が見られました。

こうしてキャンバス迄張られてしまうと、一体どの位のサイズの人が乗れるのか懸念がにわかに現れます。

高い玩具が一層高くなる。

この状態で乗用されて動いているところが見たいものです。


日進月歩といえば、案外タイヤやシートもそうなんです。タイヤの進歩は近年目覚ましく、スタッドレスタイヤでは不可能が可能になった部分も多く見られます。勿論ビッグサイズのオフロードタイヤは高価故に導入が早いです。極端なデザインでも以前に比べると遥かに耐久性が期待出来るようですから、高い中にもコストパフォーマンスは見出せるようになったようです。
シートを交換するのが一部のスポーツユーザーに留まらなくなって来たことが、様々なバリエーションと質感を齎した一因です。値の張るこれらの装備に傾注するユーザーが増えることで、選択肢を増したり品質を上げる制作側の努力も高まりましょう。自動車の部品の中でも手作りが活かせるものは数少なく、規模が小さい製作者でも技量次第でよいものを仕上げることが出来る部品です。ディフェンダーなら交換は容易なので、純正に飽きたら、或いは行く先に合わせ、付け替えて使ってみるのも宜しいかと。

先にも出た、リボーン企画で今シーズンは目立ったシリーズI、基になったウィリスMBのように製造者が絶えてしまったものではないだけに、オリジナルコンディションは難しいにしても維持に関してはクラシックカーの中でも比較的容易な部類です。走らせるとなると実態が農耕など作業車目的なので速度等の面で現代的ではありませんが、現わすグランドは一般車道で充分活動出来ます。それが故に思いのほか数は残っており流通も見られます。今はインターネットのお陰で業者同士のリンクもかなり広く張られており、部品の修復も、それこそ80年代の日本車と比較すると成功させ易いように感じます。いろいろな意味でまだ終わっていない車種なんです。幌を外せば小ぶりなのでコレクションとしても余り邪魔になりません。ただもう日常の足にはなりそうにはありません。快適ともいえません。
元々キャンバストップ仕様のみが輩出されており、ハードトップは社外の特装でした。フルタイム4x4がオリジナルで、路上での運動性能を上げる為にフリーホイールハブを取り付ける(上の写真)等して、非力なエンジンとPTO性能を重視されたパワートレインの齎す伝達不足を、フロントホイールの負担を減らす工夫でユーザーが補いました。

後にベンチレーションポートを装備し、ホイルも1インチ大きくなったシリーズIIにヴァージョンアップします。クルマのサイズもフレームごと大きくなり、路上性能を高める為伝達構造を見直しています。ハードトップは標準装備となり、ステーションワゴン/バンがカタログ上に現れました。トランスファーには後ろ二輪駆動ギヤが備わり、路上ではFR車として機能するセレクトが出来るようになりました。フリーホイールハブも標準装備となり、これはさらに後、シリーズIIIまで踏襲されます。

昨年、特別仕様車として、この時代を彷佛とさせるエクステリアが限定数量亭供されました。

フェンダーの高さや全体の高さ、タイヤの大きさを御覧下さい。確実にそして明らかに、ディフェンダーはシリーズ車より体格があります。ところが、シリーズ車に比較してフロントエンドからフロントガラスまでの長さは、比率的にですが短くなっています。車格が大きくなったお陰で、エンジンユニットはフロントアクスルを乗り越えられるようになり、よりより前にエンジンを寄せることが出来ました。大きくなっても、運転のし易いクルマになったのです。


MOA、軍需装備車ですが、軍歴がある人にも、別に戦争を望んでいない人にも、興味の対象になります。
職務でそれを使用しない人にとっては、お伽の国の乗り物に思え、職務を経験している人にはノスタルジーです。
一見しても民生用ではありえないか、特装になる装備、そして佇まい。どんなところで使われたのでしょうか。全てのクルマは所謂放出品です。外見上の装備だけでなく、エンジンやパワートレインにも特別なオーダーが入っているものもあります。パーソナルキャリアあり、通信指揮車あり、偵察車も救急車もありでなかなかいつも圧巻です。
ただ、これももう最終生産が終わっております。昨年の12月末でラインを閉じられなかった理由がこのオーダーで、ここぞとばかりに相当な数が入っていたらしく、結局は5月中旬頃迄ライン自体は稼動していました。コンポーネントは民生用と違い、オーダー毎に企画されている外のメーカーからの供給なので、調整されたり先に無くなったりすることはありませんが、そもそも量産体勢がないジャンルなので黙って時間が掛かります。部材さえ揃っていれば昨年中にやりきったかも知れなかったでしょう。
軍隊等からの放出のサイクルですが、これが実に長く、現在出されているものの殆どが80年代のクルマです。30年以上使われていることになります。サービスは過剰な程に受けていますからボロボロということはありません。民生用ではこうはいかないでしょう。但し納入されたアッセンブリーで必ず整備され続けるようにはやはり行かず、コンポーネントはその時期供給されるものに自動的に替えられていきます。それらは書類に纏められ履歴とされて残っていますので、放出を受けた人は今後もそのようにして残し使っていくことになります。案外安くはつきません。
サープラス系の趣味の方は洋の東西を問わず多く見られます。
ディズニー映画「カーズ」でも、碌に住民も揃わない田舎町にさえサープラス屋はある、ということが表現されています。
コレクションとしてだけでなく、防衛行政から放出されるものにそれだけ生活上利用する価値があるものが多いということが示されているのです。これらのクルマも基本的にはバンやトラックですし、整備状態は宜しいですから、こうしたアコモディションが欲しい方には、ほぼ上質の中古車に近い価値を見出せるもので、売る側はそれを目して放出しています。よく「高い金額で売ってそれを新装備に回している」ような言い方をされるようですが、競りの結果そうなってしまっているだけで、売れなくても期限で装備は刷新されますから御心配なく。日本で自衛隊が放出しないのは、税で調達されたものを再交付するのは再徴税にあたり、これを法が認めていないからです。そのため、駐屯地の一般開放や見学会のお土産的に模擬店で販売されるに留まっています。極一部例外的に海上保安庁が沿岸警備艇の流用を認めることがありますが、日本には小型船舶という別種の船の法整備があり、総トン数20トン未満の廃棄された船舶を再建造したものを新たに登録出来ますので遺棄後にたまたま利用されているだけです。ここで見られる、あたかもこのまま前線に出そうな組上げは、購入者の任意で後程行なわれたものであり、何も軍部がそのまま転売したものではありません。
ディフェンダーはこのように実に寿命の長いクルマです。クルマの寿命は、何も機能的機械的に定まるばかりではなく、姿が古臭くなったとか、故障する箇所が度々表れるようになって、付き合うのが面倒くさくなるということもそれに作用していきます。要は使う人の身勝手で捨てられることも実に多いのです。ディフェンダーは、新しくても古くても、見た目は変わりませんし、おそらく最も重要と見られる乗用や積載に関わる部分の維持も比較的容易です。新車は終わっても、このように将来かなり長い期間、他の車種に比べてですが、中古品としての価値を守り続けるでしょう。今新品で納入されたものは、三十年後に市場に現れる可能性が高いのですが、そのときに放出品ばかりにならないだろう、珍しいモデルだと思います。

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