創業60年とはいえ、車種乱発の乗用車メーカーではないだけあって、そのヒストリカルモデル逹は皆それぞれの時代を代表する佇まいをみせています。

シリーズI(ワン)から特徴毎にお見せしますが、今年はヒストリックカーの展示が纏まっていなかった為シチュエーション乱雑に感じますところ御容赦下さい。弊社はコンテンツ中に旧車スペック表がありますので参照し乍らご覧下さい。

シリーズIは車輪は小さい幅も高さも長さも小さいとあり、ディフェンダーに比べると随分こじんまりしています。出始めは左上の写真のような幌付きで販売され、その後ハードトップ仕様が追加されました。当時はアポロは都市部でだけ必要だったとか。

去年も載せましたが、シリーズI・II・IIIと続くオリジナルランドローバーの中で、ウインドシールドが何もしないでバタンと倒せるのはシリーズIだけです。詳しくはまた去年のレポを御参照頂くとして、この頃は、MBのオルタナティブという商品性なのでこれも重要な装備だったんですね。
自動車は、それを取り巻く環境に適応し進化していく商品です。機能や性能から、その時代の周辺事情も察することが出来る面白さがあります。

そしてシリーズII。やや車格を高めクローズド性を強めています。ハードトップが当たり前の装備となり、コンポーネントも屋根付き向けのアッセンブリーとなっていきます。
この年代は、スペアタイヤは前積みが標準だったのですが、前積みにはちゃんと意味があったんですって。何と、窓に付いて困る虫が俄然少なくなるのだそうです。

ディフェンダーでも、前積みしてる方是非タイヤを降ろして走ってみて下さい。結構虫付きますが、タイヤを載せると激減しますよ。筆者実験済、効果覿面です。

でも、夜道が羽虫でブンブンなんて、田舎の話ですね...。


今年は余りヒストリカルなネタがなかったのですが、これは初めてこんなに固まってました。シリーズIIの109フレームを使われた初代「フォワードコントロール('62〜'66)」です。
これ、キャブバンとかを動かし慣れている人には結構妙なドライビングスタイルとなります。この体躯をして、案外窮屈なポジションを強いられるのです。後年のシリーズIIIのFコンでは改善されていますが、この年代のはまあ、ある程度根性がいるというか、そういうスパルタンさが、滲んでいる程度ならかっこいいですが押し付けられていますので、案外短命に終っています。ただ、こうまでしてでもフレーム全長を有効利用したかった訳です。専ら貨物用より特装され作業用等に使用されたようです。

ライトをフェンダーに納めたシリーズIII(スリー)は、灯火類の設置位置の国際的な保安規準変更に伴うモデルチェンジでした。多くの装備をシリーズIIと同じくしていますが、ダッシュパネルやメーターの変更等を同時に施し、よりモダンなアコモデションとなっています。

パワーステアリングはまだ採用されておらず、パートタイム4x4という仕様も変わらず、やはり旧式感を残しますが、今でも多数が実働している完成されたモデルでした。


これはライトウェイトといわれる、文字通り軽量化を目的に作られたモデル。Half ton Air Portable Military Land Rover (88in model) 1968 - 1985。ヂーゼルとガソリンの仕様があり、ベースはシリーズIIaからIIIを、年代に合わせ流用してつくられた軍用車です。
現車は旧式LRの専門店が福引きに提供しているもの。ここは今迄出展してなかったんですけど今回初めて目にしました。ブリストル4X4センターという、小さい乍らも結構有名なところで、筆者も曾て旧車やってた時に結構世話になりましたが、窓枠を頼んだら荷の一面にびっしりといろんな切手を貼って寄越す(アートの一種かと思ったが)ような妙なことを平気でやる人でした。
その後、この馴染み深い出立ちとなっていくのです。
これは、シリーズIIIからディフェンダーに変わる間、84年に一年間だけ作られたLand Rover 90というモデルです。他にロングフレームのLand Rover 110というのもありましたがこちらは83年から85年前半迄作られました。ところが、実は前モデルであるシリーズIIIは並行して85年末迄作られていたのです。
ディフェンダーは先日大モデルチェンジを受けましたが、そもそもディフェンダーが現れる頃にもこうした曲折の時期があり、当時ユーザーはシリーズIII・Land Roverそして85年にはディフェンダーが加わって店頭を賑わせ、似たようなラインナップのどれを選ぶのか大層迷ったと聞いています。全く迷惑な話ですが、それもその筈で、長く一般化していたシリーズII・IIIに関して言うならふんだんなアフターパーツに恵まれていて、さらに使い慣れたBSF規格分数インチの工具類が使えたところに、Land Roverモデルはフルタイム4x4ということでPTOには癖が生じる上、不慣れなDINミリ規格工具が必要となって、サービス自体それまでとは異なる道具やデータの元で行うことになる大変革をこの時期に味わったのです。

クリーブランドホームへ

LRO Weekend 2009